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吸血鬼 @PARCO劇場 [大好きお芝居・舞台♪]

グリングの第17回公演だった本作。
演出が、扉座の茅野イサムさん。
『いとしの儚』でちょっと痛い目見ているので、
どうしようかなと思ったのですが、
平野敦子さん、ppppの玉置孝匡さん、毛皮族の柿丸美智恵さん、
モダンスイマーズの津村知与支さんが出演と聞けば、
やはり見たいでしょう。
と決意してチケットゲット。

劇場 PARCO劇場
座席 A列17番

e+の先行抽選で申し込んだだけなんですが、
前から4列目のほぼど真ん中。
良いお席でございました♪

劇場入り口では結構お花が立派でございました。
相棒で鈴木砂羽さんの旦那さん役、寺脇康文からのお花がど〜ん!と。
ロビーでウロウロしておりましたらば、
演出の茅野イサムさんがいらっしゃいました。

さてストーリー。
蔦が絡まるうらぶれた風情のアパートの前、
チンドン屋が通る。
3人の内サックス担当の一番若い男性 郡司雄太(牧田哲也さん)は
コンビニ袋を下げている。
彼のアパートで打ち上げをするらしい。
『ここです』というと、親方 山中博史(山崎銀之丞さん)は
そのアパートの佇まいに中止を申し出る。
向かって左が彼の部屋だという。
そして、隣の部屋から夜には喘ぎ声が聞こえたのだが、
ここ一週間くらいその隣人を見ていないと、雄太は言う。
その親方、昔住んでいたところで次々に人が孤独死していたのだそうで、
その隣も怪しいと言いだし、親方の妻山中明美(柿丸美智恵さん)が
率先して隣人のドアへ向かう。
果たして、その部屋には布団の上で亡くなっている人がいた。
大慌てで警察へ向かう3人、そこへボイスレコーダーを手にした
菊池顕(細見大輔さん)が登場し、
藤村恭子(鈴木砂羽さん)が亡くなって1週間経ち、
それが心に引っ掛かっていると心情を吐露している。

彼らは大学時代に付き合っていた。
卒業前に一端別れたが、その後偶然数回あっており、
その際の様子の回想シーンが入る。
卒業後、恭子はベンチャーの広告会社に入社し、
結構ばりばり仕事をしている様子。
だが、やはり悩みもあるようだったので顕は自分の部屋に誘う。
恭子はそれを拒み、部屋の外で飲み始める。
話を聞くうちに、顕は恭子に突然キスしようとして
断られ、ちょっと怒られる。
結局その時、恭子は顕の部屋に入ることはなかった。
しかし、その時顕が無理矢理にでも恭子を部屋に入れていたなら、
彼女は死ななかったんじゃないか、、、、そんな思いにとらわれる顕。

彼は脚本を書いて、生計を立てているらしい。
しかし、イマイチぱっとしないのかマネージャーに発破を掛けられている。
そのマネージャー 川野辺祥一(津村知与支さん)が、
やっととってきた仕事もまだ1枚ペラのあらすじも出来ていない。
母と娘の話を書くはずが出来ない。
顕は鬱病を患っているというが、マネージャーは容赦ない。
同じ事務所所属の女優志望の桜井のり子(水崎綾女さん)に、
母と娘について取材すると言うこと、そのドラマ(映画?)に彼女が出る
と言う事で、のり子が一緒に来ている。
しかし、顕の方は恭子が何故死んだのかが気になって上の空。
結局その日は、恭子の実家へ向かってしまう。

恭子の実家は、近所に大きなスーパーが近々出来ると言うことで、
売り上げ激減を気にしている商店街にある商店らしい。
恭子の兄 藤村一馬(玉置孝匡さん)と、その嫁佳恵(平田敦子さん)が切り盛りしている。
そして、恭子、一馬の母の面倒を佳恵が主に見ているらしい。
痴呆が始まり寝たきりの母は、佳恵を恭子と間違えたりしており、
佳恵一人の手には余るが、一馬もあまり手を貸したがらない様子。
そこへ顕は現れ、恭子の死について調べたいと申し出る。
警察は恭子の死は、精神安定剤とアルコールを多量摂取した
自殺だと断定したという。
しかし、彼女が泥酔したところも見た事がなく、
彼女が自殺する理由が分からないから、何かしらの事件に巻き込まれ、
殺されたのではないか。
彼女の日記でも手帳でも残っていれば見せてもらいたいと、
一馬に申し出て、手帳を受け取った顕。
そこに、O、Y、Vという記号と共に、
数字があって、最初その頭文字の男と飲みに行った際の金額かと予想する。
そして、それをモデルに今受けている仕事の脚本を書こうとする顕。
昔付き合っていた女性の死を自分の仕事のネタにするのかと、
一瞬自問自答するが、
『良いさ、そうやって吸血鬼になってやる!』
と言う台詞を吐く顕。
あぁ、それでタイトルが吸血鬼なのか、と納得するシーンですな。

もう一度のり子に取材する顕。
すると、のり子は恭子の居た会社でアルバイトをしていたという。
よくよく話を聞くと、恭子は営業というわけでも、
バリバリ仕事をして燃えていたと言うわけでもなさそうだった
と言う事が分かった。
のり子達、アルバイトの管理などをしていた程度で、
あまり仕事にやる気を感じなかったというのである。
顕はもっと詳しく彼女の仕事していた様子を知りたいと、
のり子にその会社に居る知り合いに連絡を取ってくれと言う。
嫌がるのり子だったが、渋々メールを出す。
その後、マネージャーの川野辺から電話が入り、
顕と入った店を出てしまう。

Oと言う頭文字の男と頻繁にあっていた様子を
恭子の手帳から伺う顕。
きっと取引先の人間だったりしたんじゃないか、、、、、
ここでまた顕の想像のシーンが挿入される。
恭子がある不動産会社の担当者を待ち伏せしている。
プレゼンの印象を聞きたいと、その担当者(山崎銀之丞さん)に声を掛ける。
プレゼン会場以外でそんな個人的に接触するなど、
ルール違反だと言われるがそこをしつこく食い下がり、
話をしていく内に『その女性ならではの視点がうちの会社には必要かも知れない』
と言われて、その会社の広告の仕事を全て任せてもらえることになった。
そこでこの後飲みに行こうと誘われる恭子は、
躊躇するが、結局行ってしまったようだ。

のり子は川野辺と会っていた。
顕が昔の彼女の死をネタに脚本を書いている。
そんなデリカシーのない人だったなんてと、憤慨している。
そして、恭子の写真を川野辺に見せる。
川野辺はどこかで見た顔だよなーと、首をかしげている。。。。
そして、思い出した川野辺はあるサイトをのり子に見せる。
それはSMプレイを売り物にしているらしい動画のサイトらしい。
そこに映っていたのが恭子だったのである。
そんな動画を見せて川野辺ものり子に迫ってみたりする。
のり子はそんな川野辺や、恭子の実態や、顕の様子に憤慨して、
出て行き、顕にそのサイトのアドレスを教えたのだった。

顕はそのサイトを見てまた想像する。
Oは、OLD要するに年が行った客、
Yは、YOUNG 若い客、
Vは、VISITOR 外国人の客であり、
恭子は売春をしていたのではないか、、、、、
この時、水崎綾女さんがうつろな目で舞台上を歩いていき、
黒い服を着た細見さん以外の俳優達を交わしながら移動していく。
時たま寄り添ったりしながら。
恭子の当時を想像していた顕の頭の中の映像と言う事だろうか。

さて、そこで一端また恭子が顕のバイト先に来たときのことを思い出す。
ご機嫌な感じだったが、ネタをあげると言い出す恭子。
恭子が広告会社に就職したのは、母親の影響だったと語り出す。
当時まだ自立した女性が少なかったころなのに、
恭子の母親は広告会社でバリバリ働き、一人で生きていく決心をしていた。
しかし、恭子の父と出会い恭子が出来たことで(あれ、お兄さんが居たんじゃなかったっけ?)
仕事の道を諦めて家庭に入った。
しかし、恭子が就職したときに自分と同じ道を選んだ恭子のことを非常に喜び、
就職祝いに高いスーツを買ってくれたりしていた。
そんな母の思いを自分が果たすと言うような気持ちで仕事をしてきた。
そして、最近やっと大きな仕事が取れた。
それを母親に報告しようとしたら、その母は痴呆が始まっていて、
兄嫁の佳恵を恭子と間違えていると言う事を知る。
何時も残業や接待で遅くなって母親との接点を失っていた恭子。
母の為に頑張るのだと思っていた心の支えを亡くし、
自分の居場所を亡くした恭子。

そこで、家族には内緒で古びたアパートを借り、
そのアパートをつかって売春と動画撮影という、
別の仕事を始めたのだった。
そこで恭子はSM好きの客(山崎銀之丞さん 3役)に、
無理矢理手を縛られ、無理矢理酒を飲まされて、
パニックに陥った恭子は死んでしまったのであった。
プレイのつもりでやっていた客は逃げていく。。。。
あの時、恭子を自分部屋に入れていればと後悔する顕に、
死んだはずの恭子が、
『コレで満足?こんな風に私が死んだと思ったことで満足?
 自分のシナリオの為に私を食い物にして満足?』
と罵って顕を責め立てる。
恭子が去った布団の上で、顕は酒を煽って狂っていく、、、、、

暗転後、また最初にシーンに戻っている。
チンドン屋の3人があのアパートの前で
『そいつ死んでるかも知れないぞ』と行って、部屋に入っていく。
死んでいるのを見つけて、慌てて警察へ向かっていく3人。
そこに訪ねて来たのはスーツを着た恭子。
帰ってきた雄太が、
『その部屋の人もう居ませんよ。
 脚本家かなんかで、自殺しちゃったみたいです』
と、声を掛ける。
恭子は勿論知っていた。
そして、
『あの時、この部屋に泊まっていたら彼は死ななかったかも知れない』
と、吹っ切れない想いを胸に抱えていた。

兄夫婦とその二人の赤ん坊と共に暮らす恭子。
顕が会っていた兄夫婦はギスギスしていて、倦怠期を通り越した
崩壊寸前の夫婦だったが、コチラでは子供ができたてで幸せそうだ。
恭子は不倫していた取引先の人間と別れたらしい。
そして、顕の死をなかなか受け入れられずに悩んでいる。
佳恵が言う。
『今すぐというわけではないけれど、
 赤ん坊が生まれて、これでもう自分の分身を残したから、
 何時死んでも良いんだなぁって思う。
 赤ん坊が私の母乳を飲むたびに、私の血をこの子に分けているんだなぁって
 実感するの。
 母乳ってね、血なんだって。
 そう考えるとさ、赤ん坊って吸血鬼よね』
あぁ、だからチラシの吸血鬼の文字の色が白くて、
そのまわりに白い液体が散っているのか、と2回目の納得。
恭子は旦那が居なくても良いから、子供が居るって言うのはダメかな。
と、佳恵に問い、佳恵がそれはダメだという。
家族との繋がりがあって、それが大事なんだと。

そして、もう一つの物語なのか、
"あの夜"のシーンへ。
顕と恭子が手を繋いで、顕の部屋に入っていく。。。。
そうなれば、きっと誰も死なずに開かれた未来があるのか、
それとも、やはり何か破綻する未来が待っているのか。。。
と言う所で物語終了。

後半のどんでん返しに、『え???』という
ビックリがありますが、
『そうか、あの時の選択が変わっていたら、違う今があったのかも知れないのか』
と思わせ、最後あの時と違う選択の場面で終わることで、
『どっちが良いか何か、結局分からないままよね』と、
妙に納得させられる構造になっていました。
青木豪らしいという印象。
所々笑わせてくれるんですが、心にずしんと残る物があります。
誰と繋がるのか、孤独、幸せ、仕事。
色んなものが繋がって問いかけられます。
決して重たいわけではないけれど、
印象深い物語でした。
そして、一番心に刺さったのはやはり孤独死を取り上げている所ですかね。。。
未だに後悔が拭いきれず、それを思い出してしまって重たい心を引きずってしまいました。

細見大輔さん、相変わらずもの凄い発汗量ですねw
間近な席だったせいもあって、顎からタラタラ滴る汗が丸見えでございました。
チンドン屋の女将から、バーのママや、最後はダスキンの集金係まで、
色んな役をこなしていた柿丸美智恵さん。
ハスキーボイスが妙に嵌ってました。
ダスキン以外は白塗りで、またそれが似合ってるところが素敵w
チンドン屋の親方、恭子の不倫相手、顕の想像上の恭子の最後の客、
夜にサックス練習する若者の指導役と、色んな役を次々にこなしていた
山崎銀之丞さん、どれもしっかり嵌っていてその変幻自在な雰囲気が素敵でした。
顕の頭の中では嫌みなマネージャー、恭子のいた場合では新人女優に振り回される
弱気なマネージャーと、同じ立場なのに
両極端な人間を演じきっていた、津村知与支さん。
登場しただけ、売り物の残りの弁当を食べただけで
笑いをとり、痴呆の義母の始末をしたり、離婚を考えたりするシリアスなシーンは、
しっかり、そして、最後の幸せな母親の役と
コロコロと変わり続けた平田敦子さん、やっぱり巧いなーと、
感心したり。

今日はこの後友人3人ともぐりへ行くので、
この気持ちをちょっと持ち上げる為にスペイン坂でカフェに寄りました。

100605_cafe01.jpg
肌には良さそうだったのですが、気持ちがしょっぱくなっていたせいですかね、
アボカドディップがちと、私には塩辛かったのが残念。
でも、コレと紅茶で少し気をアップして、渋谷をぷらぷらしたお陰で、
友人といつも通りの顔出会う事ができたので、良かったとします。
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