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2人の夫と私の事情 [大好きお芝居・舞台♪]

e+の抽選に外れ、カンフェティのサイトで購入しましたコチラ。
正月に見た、東京月光魔曲が思いの外(失礼)良かったので、
こう言う大きめな劇場でのKERAさん作品も良いかなと。
しかし、GWの渋谷の駅前は殺人的に混み合っておりました(>_<)
東急本店前に着いたら開場時間にはちょっと早かったので、
スタバでフラペチーノを購入。
「あちぃ」と思って冷たいものにしたのに、
トールサイズを飲んだら身体が冷えてしまいました、,,,

100504_otto01.JPG

シアターコクーン
18:30開演
座席 H列 1番
今回カンフェティでゲットしたS席だったので、
あまり期待しなかったのですが、見やすかったです。

サマセット・モームというと、私が思い出すのは予備校での
長文読解の授業。
奥井先生から、モームの魅力の一つは女性の描写だと教えられながらの、
英文の授業は予備校の授業らしからぬ、楽しいものでした。
モームのシニカルな描写に対しての解説がとても楽しくて、
とても印象に残っております。
なので、90年前の作品なのに内容が飛んでいるとか、
ヴィクトリアの描写について『凄い』という表現があるのも、
「そう?」と思ってしまう程。
きっと、奥井先生の授業を受けた経験がなければ、
私もそう思っていた一人でしょうけども。
モームの視点は本当にシニカルで、その視点から表現される描写は
人間誰しもそう言う片鱗があるなぁと、納得させられるものだったりします。
ま、戯曲や小説はデフォルメしてあるのですから、
何処を膨らませるかで、笑いに転じる所はあるでしょう。

このお話、米題だと『Too many husbands』だそうですよ。
直球過ぎ!w

3幕構成だと言う事だったので、「えぇっ!」と思ったのですが、
1幕はヴィクトリアの寝室から始まります。
長いすでネイリストに爪の手入れをしてもらいつつ、
如何に戦死した前の夫と、今の夫を愛している自分が、
国の為、人の為に尽くしているかを延々とまくし立てるヴィクトリア。
もう、この場面から可笑しくて仕方がありません。
そのうち、母親が入室してきて女としての生き方を述べたりします。
この辺も突っ込みどころ満載です。
ある意味、頷く所も多いですけども。

そこへ、渡辺徹演じる今の夫登場。
早速何故ランチを食べに連れて行ってくれなかったのかと、
詰られる夫。
この辺で既に、ヴィクトリアが語っていた程
夫がヴィクトリアにメロメロではなさそうな片鱗が見え隠れしますw
そして、何故ランチに行けなかったのかその理由が判明。
戦死したと報告されていた段田安則演じる前の夫が、
実は生きていて、今日帰ってくると言う事が判明。
誰が言うかで、ヴィクトリアとフレディ(現夫)が言い争っている内に、
ビル(前夫)が帰宅してしまいます。

もう、端から見ているとこれ以上笑える状況はないというような、
凍り付く3人(ヴィクトリアの母 シャトルワース夫人もまだ部屋にいるので)と、
脳天気過ぎやしないか?と言う感じで、今で言うちょっとKYなビル。
やっと事実が判明した所で第1幕終了。
10分の休憩の後、第2幕です。

2幕は客間。
もの凄いインテリアです。
ヴィクトリアの寝室は当時の金持ちの一室風でしたが、
コチラはなんだか、、、、

そこで縮こまって寝ていたのは、フレディ。
そこにシャトルワース夫人が入ってきて、
子供達を連れて行くと言う事に。
ヴィクトリアはショックでフレディとも、
ビルとも寝室を共にしなかった模様。
そこに、皆川猿時演じる金持ちのミスター・ペイトンが
来たとの知らせ。
シャトルワース夫人が始め相手をしていたが、
暫くしてお風呂から出たヴィクトリア登場。
その様子を物陰から見ているフレディ。

もう、あの手この手でヴィクトリアが、
この金持ちを籠絡しようとする様が、凄い。
戦争が終わって、軍人の二人の旦那より金持ちの方が
これから都合が良さそうだと、言う事に気が付いたのでしょう。
その日のランチの約束を取り付けて、ウキウキで一旦風呂上がりの
ヴィクトリアは退場。
その後、二人の夫の腹の探り合いが始まりますw
どちらも片方にヴィクトリアを押しつけようという腹。
この辺も面白いんですよね。
夫は二人とも片方に押しつけようとしているけれど、
ヴィクトリアの方は既に別の男にロックオンしている。
結局二人とも、美人のヴィクトリアと1回夫婦になれたのは幸せだが、
それ以上の結婚生活を続ける意思がない事を確認し合います。

そして、この2幕の見所はもう一つ。
ヴィクトリアの我が儘放題振りが徒になってると、
容易に想像が付くのですが、メイドが長く続かないこの家。
前日にコックは辞めてしまっているし、
今日もメイドが全員出て行く事になった模様。
そこにコック志願で池谷のぶえ演じるポグスン夫人登場。
彼女も凄い!
午後は働かないと言う事で、ディナーの時間は午後の1時!
給料も前のコックより多めを要求。
すげぇなぁ、ヴィクトリアに負けてないなぁ。
と言うのが素直な感想。
モームの描く女性には母性とか、魅力とかあまり無いんですよね。
本当に辛辣w
そして、池谷のぶえという役者もやはり巧い!
上流階級へ出入りしている感じが好い加減に出ていて、
台詞の抑揚までがその雰囲気。
洋画のアフレコも出来るんじゃないかしら?

と言う事で、くじ引きで夫を一人にしようとしたり、
ミスター・ペイトンとのランチの約束に出掛けようとする
ヴィクトリアに彼からの手紙が渡されて、またランチが食べられなくなったり
した所で2幕終了。

3幕はキッチン。
石炭を運んだり力仕事をしているフレディと、
妖しげな料理を作っているビル。
しかも、ビルはハーレクインですか?と言うような小説を読んでいるし。
そんな二人がいるキッチンへヴィクトリアが、弁護士を連れて登場。
なぜなら、ミスター・ペイトンからのプロポーズを受けるため、
二人と離婚する為www
この決断の早さと、根回しとか相手にそうする様にし向けると言うような
小細工一切無しの直球勝負、良い感じです。
ビックリする二人に対して、弁護士がまくし立てます。
この辺も、モームらしさ満載。
上流階級のばかばかしさを、巧く表現しているんですよね。
その馬鹿馬鹿しさを手玉にとってビジネスモデルを作って商売している、
弁護士の手腕が凄い。

裁判所に離婚を認めさせる為に偽装をしようとするけれど、
最初の案だと時間が掛かりすぎるというヴィクトリアの為に、
夫の暴力が原因にすることを弁護士が提案。
演技指導中、思わず今までの恨み辛みが思い出されて、
手に力が入ってしまうビル。
「あぁ、やっぱりモームだなぁ」と思ったものの、
息を吹き返すヴィクトリア。
私的には、「っち!」という感じがしましたが、
その後の、『俺にもその演技やらせろ!』なフレディの様子は、
可笑しかったですw

『このメイドのいない家は私には耐えられないんですもの』
と言う言葉を残して行ってしまうヴィクトリアに、
唖然とする夫二人。
そこに、ミスター・ペイトンからランチバスケットのプレゼントが、
ヴィクトリア宛てに届きます。
ビルの作った料理が食べられなくなった二人は、
まんまとそのランチバスケットを手に入れ、
二人に自由に乾杯して、幕。

どの俳優もとても巧くて、それ故にしっかり笑わせてもらいましたけど、
その笑っている私たちを見て、モームはほくそ笑んでるんでしょうね。
「他人事だと思って見ている諸君、コレは君たちのことだよ」
とでも言っていそう。
と、思える程「あぁ、あるなぁそういう思考回路 苦笑」
的な所満載でした。
上流階級の馬鹿馬鹿しさ、
女という生き物の自己正当化の思考回路、
男という生き物のものの本質の見えていなさ。
とても楽しめました。
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